新年早々、TGA内で年越しシンオウダブル大会を開催した。
ここで、シンオウダブルとは、一部のTGA勢が愛好している超ローカルルールで、その昔の公式対戦会『バトルフェスタ2006トリプルビートDP』の発展形である。
バトルフェスタ2006のルールは、シンオウ図鑑に載っているポケモンのみ(ディアルガ・パルキアは除く)によるDPを用いた見せ合い無し3体のダブルバトル、というものだった。だが、流石に3体でダブルバトルをやるというのが現代的でないので、4体による見せ合いなしダブルバトルで、またフラット対戦が可能で催眠の仕様が変更されたHGSSを用いることにした。この際、HGSSで解禁された教え技も使って良いものとしている。
それが、我々がシンオウダブルと呼ぶルールである。
この内容は、
ポケモン特集号第12号にも掲載しており、環境考察や構築紹介がなされている。
興味のある方は考えてみるのも良いだろう。
さて、年越しシンオウダブル大会は5人のプレイヤーによる総当たり戦となった。プレイヤーは、リィズ(私)、rimo、imt、Tst、たらひろ(12号のシンオウダブル勢にrimo氏を追加した形となった)。
使用構築はそれぞれ、
リィズ:ゴウカザル、クロバット、ユキノオー、エンペルト
rimo:ゴウカザル、ドンカラス、ラムパルド、エンペルト
imt:ゴウカザル、ロズレイド、レントラー、ドータクン
たらひろ:マニューラ、アグノム、カイリキー、ミカルゲ
Tst:ガブリアス、ルカリオ、カバルドン、ハピナス
であった。
結果としては、私が全勝で優勝することができた。
ということで、せっかくなので(特に発表機会がないのも寂しいので)構築紹介を載せておこう。
【構築】
ゴウカザル@タスキ
猫騙し/インファイト/マッハパンチ/大文字
せっかち 151-147-81-134-91-176
クロバット@黒いヘドロ
守る/身代わり/ブレイブバード/怒りの前歯
陽気 AS
ユキノオー@拘りスカーフ
吹雪/エナジーボール/草結び/絶対零度
臆病 CS
エンペルト@ヨプの実
守る/アクアジェット/ハイドロポンプ/草結び
控えめ HS
【解説】
組むにあたっては、まず対ドータクンをどうするかを考えた。
ドータクンは弱点が1つしかない上に、大爆発やトリックルームという強力技を持っているので、ドータクンの行動回数を1回増やすことは死に直結する。特にTGA内では、
ドータクン@珠
大爆発/トリックルーム/サイコキネシス/ラスターカノン
冷静 HC
という型が人気で、打点としても非常に強力であり、特に対トリパで圧倒的な性能を誇っているため、あらゆるトリパを死滅に追いやっている。
弱点は炎のみだが、シンオウダブルで使用可能な炎タイプはゴウカザルとギャロップの2体のみである。なので、まずはゴウカザルを確定。
他で対応できそうなのが、ドータクンのメイン技をすべて半減にしつつ等倍技を撃ち込めるエンペルトであったので、ゴウカザル+エンペルトを基調に考えることにした。会誌における考察において、エンペルトは間違いなく強いにも関わらず、特異なパターンでの使用例しかなく考察不足感があったため、ここで使っておきたいと考えた。
対ドータクンを考える際に、ゴウカザルで対ドータクンを満足していると、先発のゴウカザルがあっという間に処理されて後発からドータクンが出てきて終了する、というパターンが非常に多いため、先発、後発にそれぞれ対ドータクンの駒を仕込む必要がある。そのため、今回は、ゴウカザルを先発に、エンペルトを後発に起用することにした。
次に、先発でゴウカザルと誰を並べようか考えたが、先発はどうせ、同様の考えでゴウカザル+何かや、マニューラ+何か、のような、高速猫騙しパターンが多いだろうと考え、そのパターンに強いポケモンを用意しようと考えた。
そこで、猫騙し無効のポケモンを入れようという考えに至る。
候補に挙るのは、精神力のクロバット、フーディンや、ゴーストタイプのミカルゲ、ゲンガー、フワライド、ムウマージである。しかし、フーディンやゴースト勢はマニューラより遅くマニューラから抜群を貰うので没。ミカルゲなら貰わないが、素早さの低さから行動機会を得にくいと判断した。
よって、マニューラの上を取れるクロバットで決定。
クロバットは、環境初期のトップメタであるゴウカザル+アグノムに強い駒として話題になったが、多くのアグノムがハチマキブレイブバード耐え(マニューラの辻斬りも耐える)とサイコキネシスで無振りクロバット1発を両立した調整(私考案)で使ってくるだろうと考え、小回りの効かない拘りハチマキはやめ、猫騙しでのアドバンテージを取りやすいように、身代わりを搭載して、黒いヘドロを持たせた。
クロバットの強力なところは、高速相手の上を軒並みとりつつ、等倍以上の火力でブレイブバードを撃てるところ。飛行耐性のある電気(筆頭は威嚇が強力なレントラー)、岩、鋼は軒並み遅いので、マニューラやゴウカザルと並んでいることが少ないのである。
また、裏から(耐久の高い)飛行耐性を投げられても、怒りの前歯で削ることができるのも高評価。対ドータクンでも普通に優秀な部類である。
後発は、エンペルトとクロバットの弱点を突いてくる電気に対し比較的有利なポケモンを採用したいというのと、全体技持ちが欲しいということで、スカーフユキノオーとした。クロバットは身代わりを活用しながら長生きさせつつ、適当にゴウカザルを切ってクロバット+ユキノオーで制圧するような動き方ができる。
ゴウカザルは、マニューラをクロバットとの集中で落とせるように、マッハパンチを仕込んだ。配分は、無振りゴウカザルをインファイト+マッハパンチ落としと、H振りレントラーを大文字2発落としを両立する、シンオウダブルにおけるテンプレ配分である。
エンペルトは、ユキノオーと並んだ際に格闘弱点が被るので、後発格闘にも対応できるようにヨプの実を持たせた。また、ユキノオーは吹雪を連打することになるので、ユキノオーの草打点には期待しにくく、エンペルトのサブウェポンを氷にすると対水の打点が不足してしまうので、草結びを搭載した。
レントラーやカイリキーなどよりなるべく先に動きたかったので、控えめHS振りとした。レントラーはCに振らないと貧弱だが、エンペルトは控えめ無振り程度でも十分な火力を出せるところがポイントである。
【対戦概要】
vs rimo
相手は初手ゴウカザル+ドンカラス。正直何をしてくるのか全くわからなかったが、とりあえず後発のことを考えて、猫騙し+ブレイブバードでゴウカザルを集中することにした。すると、相手のドンカラスは追い風を使用。
あっ、やばいな、と一瞬思ったものの、4世代の追い風は3ターンしか持続しないことをすぐに思い出し(というかだからこそクロバットに追い風を搭載しなかった)、「あと2ターン凌げばいいや」と適当に考えた。
裏からラムパルドが出てきたので、並びとしてはエンペルトへの打点が薄く、また追い風さえ切れればユキオノーが制圧できる並びなので、ゴウカザルを捨てつつエンペルトを出し、適当にユキノオー出せば勝てるだろうと考え、ゴウカザルはマッハパンチでラムパルドを削り、クロバットは守る。ラムパルドが削れてユキノオーの吹雪圏内に入ったので、追い風が切れるタイミングで表のポケモンを切りつつスカーフユキノオーを出して吹雪で制圧。
最後のポケモンはエンペルトであったが、相手のエンペルトは草結びがなく、こちらは草結びを持っていたので、一方的に殴って勝利。
結果的には、相手のドンカラス、ラムパルド、エンペルトが対エンペルト打点に不足しており、こちらのエンペルトの処理が遅れたことが勝因となった。
vs imt
先発ゴウカザル+ロズレイド。一見クロバットで制圧できそうだが、シンオウダブルのロズレイドはスカーフを持って眠り粉を撃ったりリーフストームでアグノムを処理してくるものがメジャー。よって、今回であれば、間違いなく眠り粉をクロバットに当ててくるだろうと考え、猫騙し+身代わりで動いた。相手のゴウカザルも猫騙しを選択していたが、こちらのゴウカザルが先に動いたため、クロバットの身代わりが残った。
次のターンは、マッハパンチとブレイブバードの集中でゴウカザルを落とした。ロズレイドの眠り粉がゴウカザルに当たるが、特に問題無し。
裏から出てきたのはレントラー。身代わりの残ったクロバットと眠ったゴウカザルの前で眠り粉に拘ったロズレイドが居座る意味はないので、ロズレイドを狙ってブレイブバードを撃つ必要はなく、レントラーに怒りの前歯。予想通りロズレイドは引っ込んで、出てきたのはドータクンであった。あとは、ドータクンを怒りの前歯で削り、適当なタイミングで起きたゴウカザルが大文字で制圧した。
vs たらひろ
初手マニューラ+アグノム。ここまでの対戦で相手はすべて猫騙し+高速ポケモンの形であり、クロバットの採用が活きている。相手は初手猫騙しをゴウカザルに撃ちつつサイコキネシスでどちらかを殴ってくるだろうと考えた。恐らくクロバットに殴り掛かってくるだろうと思ったが、クロバットが守るとゴウカザルに集中された場合にアドバンテージが取れないので、クロバットは身代わりを選択。結果としてはクロバットに殴り掛かってきたため身代わりは破壊された。
2ターン目は、冷凍パンチをクロバットに、サイコキネシスをゴウカザルに撃ってくる場面。こちらは、とにかくマニューラを処理してスカーフユキノオーで制圧したいので、マッハパンチ+ブレイブバードでマニューラに集中をかけて落とした。相手は予想通りサイコキネシスでゴウカザルを倒してきたので、そこにスカーフユキノオーを投げた。
相手はミカルゲを出してきた。
3ターン目は、ユキノオー吹雪とクロバットブレイブバードでアグノム集中安定の場面。算段通りアグノムを処理し、裏がカイリキーであったので、クロバットが制圧して勝利した。
vs Tst
初手でガブリアス+ルカリオというまったく読めない選出。ガブリアスのスカーフが非常に怖かったが、とりあえずユキノオーを投げる際に邪魔になるルカリオをさっさと処理しようと考え、マッハパンチ+ブレイブバードで集中をかけることに。
すると、ルカリオこの指止まれ+ガブリアス身代わりで動いてきて、裏からカバルドンが登場。
ガブリアスがスカーフでなかったので喜び勇んでクロバットを大事にしつつゴウカザルを捨てて裏からスカーフユキノオーを出して勝ち。
【感想】
全体としては、こちらが採用した戦術がすべて目論み通りに働いて優勝できた、というところだろう。初手からユクシーで電磁波を撒いて適当なポケモンで制圧するだとか、真性トリパだとか、そういう構築は一切なく、とにかく先発高速猫騙し&高速ポケモン+後発中〜低速、という構築で、こちらの戦術がすべて思い通りに嵌った結果となった。
また、私が密かに注目していた控えめHC帯ギャラドスには、こちらは一切弱点を突けない上にギャラドスからは全員が弱点を突かれるので、かなり厳しい相手であったが、幸いにして誰も使用者が居なかった(その型のギャラドスについて私が言及したことはなかったのでもしギャラドス使用者が居たとしても物理であったろう)ので、その点は助かった。
結構雑な考えで組んだ構築ではあったのだが(クロバットとか、よくわからないけどとりあえず猫騙しと相性が一番良さそうなまもみがヘドロでいいんじゃね、というような採用理由だった)、結果的には構築のすべての構成に無駄がないという結果になった。
謎ルールの小規模大会ではあったが、新年早々に全勝優勝できたのは素直に嬉しい。
あと、初IDくじで5ケタ一致したので、今年は何かいいことがあるのかもしれない(適当)
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すごく構築の参考になります!